現代は医学の進歩により、平均寿命が劇的に伸びました。
それにより、新たな問題が起きてきています。
それは、「高齢の親の老後はどうするのか」ということ。
ひと昔前までは二世帯で同居していることも珍しくはありませんでしたが、最近では核家族化が進み、昔のようにおじいちゃんおばあちゃんと一緒に育った人は少なくなりましたね。
そんな中で親の老後の面倒はみたくない、と考える子どもたちも出てきました。
しかし世間では「薄情者」と見られてしまう、でも…と思い悩んでいる人は多いでしょう。
デリケートな問題ですが、一緒に考えてみたいと思います。
目次
親の老後の面倒などみたくないって薄情?身勝手な親でも面倒みるの?
ある視点から見れば薄情かもしれませんし、薄情と簡単には言えないものでもあるでしょう。
まして、普段から親子関係が良好ではないのなら、面倒見たくないと感じることは自然かもしれません。
ひと口に「親子」と言ってもその関係はさまざまです。
子どもの頃から大人になった今でも比較的風通しのいい関係の場合もあれば、どちらも干渉することの少ない割り切った関係もあります。
中には「あんなひどい親、顔も見たくない」という破綻している親子関係もあるでしょう。
これは何もおかしいことではありません。
家族関係とは血のつながりがあろうとなかろうと、人間同士の関係なので、うまくいくこともあればかみ合わないことだってあるのです。
親子ならそこそこうまくいく関係のはず、なんて考えられるのは、よほどラッキーな家庭で育った場合でしょう。
そう、親子の関係がうまくいったのは「ラッキー」な部分があるのです。
なぜなら親も子どもも相手を選ぶことはできませんよね。
たとえば友だちになれそうもない、生理的にどうしてもイヤ、そんな相手と親子の関係だったなら?
また、親と言ってもひとりの人間なので自分の欲求や野望などを優先する場合もあったでしょう。
「母親モード・父親モード」と「女モード・男モード」をうまく切り替えられる人と、どうしてもムリという人がいます。
どちらの家庭で育ったかによっては、子どもに負担がかかったり、不信感をつのらせたりする結果になることも。
結果として、「高齢になったからって今さら面倒なんかみたくない」と感じる子どもがいてもおかしくありません。
世間一般では「親の面倒はみない」と言うと、なんて薄情なのだと批判されることが多いものです。
しかし、批判する人がアナタの親の面倒をみることはないでしょう。
また、自分の現在の体調や家庭の状況によっては「みたくてもみられない」という場合もありますよね。
ただ、人の気持ちは簡単には割り切れません。
面倒みたくない、でも弱った姿を見ると罪悪感もある、だからって、あんなひどいことをされたのに今さらムリ、周りから薄情だと思われたくない…、ぐるぐると無限ループの思考になりますよね。
そこで、まずは客観的にみて「面倒をみることが可能か」考えてみましょう。
それは金銭的な面や家の規模、自分の仕事、家庭の状況などです。
これらを考慮して親の面倒をみられるのかどうかを、感情を抜きにして検討してみます。
そして、面倒をみることが不可能であると結論は出た場合、出来る範囲は何かを考えましょう。
何も同居して手取り足取り面倒をみることだけが正解ではありません。
もしも身勝手な親だったから、面倒みたくないと感じるなら「妥協できる範囲」でもいいのです。
亡くなった場合に少しも後悔はない、と考えるならまったく面倒みないという選択も一応あります。
しかし、その後の自分の人生で後悔や罪悪感が残るだろうと感じるなら、「まずはここまでやってみよう」というコトから始めてもいいと思いますよ。
もしかしたら、昔とは少し違う関係を築けるかもしれませんし、まったく変わりないこともありますが、アナタが「私はやるだけやった」と感じることが重要です。
誰もココロのしこりを肩代わりしてくれませんので、世間の目よりは自分の内面に目を向けて考えてくださいね。
親の老後生活!知らないと困る親の家計!支援が必要な場合どうする?
介護を経験した人の多くが「親の経済状態を把握していなくて困った」という話があります。
すっと同居していたり、オープンに話してくれる親ならいいのですが、ほとんどは親の家計のことは知らないもの。
しかし、いざ介護や支援が必要になるような状態になると経済的なことは聞いている時間がなくなるものなのです。
そこでなるべく認知症や病気などになる前に、銀行口座や貯蓄、借金の有無、入っている保険などは把握しておくことをおススメします。
ただ、急に問い詰めたりするとプライドを傷つけてかたくなになったりすることもあるので、雑誌やテレビの話題などにからめて聞くのが良いですね。
基本的な支援の流れとしては、まず「介護が必要」と感じたなら介護保険の申請をしましょう。
地域包括支援センターに連絡し、医療機関で検査を受けたり役所の訪問を受けたりして「介護度」が決定されます。
この介護度により受けられる支援や介護サービスの種類も変わりますので、なるべく早めに申請することが大事です。
ケアマネージャーが、介護サービス計画であるケアプランを作成してくれるので、それにより訪問サービスや通所サービスなどを受けてください。
こういった申請やプラン作成の場には、連絡の代表先となる家族の同席が必要であることが多いので、時間も手間もかかります。
ある程度は覚悟してやり繰りしなくてはなりません。
親の老後の面倒に関するまとめ
高齢になった親の老後を面倒みたくない、そう思うのにはそれなりの理由があることが察せられます。
薄情だと批判する人もいるでしょうが、その人たちは親の面倒をみてはくれないので、右から左に聞き流しましょう。
聞くべきは自分のココロと、親の希望です。
まずは自分の体調や家庭の状況、金銭的な余裕などを検討し、現実的に考えて「面倒をみることが可能かどうか」客観的にみることが必要です。
その上で「ここまではできるけど、こういうことはムリ」とできる範囲を探します。
親が亡くなった後に後悔や罪悪感がうまれることもあるので、できれば「私ができることはやった」と思える状況にしておくことをオススメしますね。
支援が必要になった場合に意外と困るのが「親の家計は知らない」という点です。
お金のことは聞きづらいものですが、把握しておかないと大変困ることが多いので、テレビの話題などを出してさりげなく聞き出しておきましょう。
いざ介護が必要だと感じたなら、地域包括支援センターに連絡し介護保険を受けるための申請をします。
介護の認定には手間と時間がかかりますので、なるべく早めに対処することをオススメしますね。
認定が無事通るとケアマネージャーがケアプランを作成してくれますので、それに沿って生活するようになります。
こういった話し合いの場には同席する必要があるので、時間のやり繰りが大変ですが、うまく乗り切ってくださいね。
最後に、100パーセント正解の答えはなかなかないものです。
「ウチはこれでいい」と考えることも時には必要かもしれませんね。
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