愛する家族を失ったとき、悲しみが癒える間もなく直面するのが「遺品整理」の問題です。故人が生活の中で日々ふれていた数々のものたち。
貴重なもの、思い出深いもの、処分したいもの、いつから、どうやって整理すればいいか途方に暮れてしまいます。
今回は、遺品の整理をいつから、どんな方法で実施すればよいかご紹介したいと思います。
目次
母の遺品整理はいつから始める?兄弟間のトラブルを未然に防ぐには?
遺品整理をする一番多いパターンは、やはり親が亡くなったとき。父に続いて母が…などという場合、遺品整理は子供たちに託されます。
なくなった直後は悲しみも深く、遺品のことを考える余裕もないでしょう。しかし、届け出など期限の決まった手続きもあるため注意が必要です。
一般的に見て、遺品整理が行われる時期はいつが適当なのでしょうか?
【遺品整理はいつから?実施するタイミング】
1.四十九日の法要の後
仏教では、人はなくなった後、四十九日をかけて仏様の元へ旅立ちます。四十九日の間は閻魔様の裁きを受けるため、現世をさまよっています。
四十九日を過ぎれば魂は次の世に行くわけですから、ここを目安に遺品整理をするのが一つの考え方です。
兄弟が多い場合、遺品整理も一人の意志で進めることは出来ません。
「母の大事なコレクションを勝手に売ってしまった」
「父や母の写真を自分一人で整理してしまった」
など、トラブルになるのが関の山です。
兄弟の間でじっくり話し合う時間が取れる。法要のある四十九日が選ばれる理由がここにあります。
親族が集まったところで形見分けを済ませ、気持ちを前に向ける。兄弟間の争いを防ぐためにも、適当な時期であると言えるでしょう。
2.手続きが終わった後
例えばなくなった母が、集合住宅で独り暮らしだった場合。死亡届を出した後の手続きは思いのほか面倒なものです。
賃貸なら、契約を解除して退去日を決めなければなりません。ライフラインを止める手続きなど、短期間でやることがいっぱい。
一人暮らしでなくとも、保険の手続きや、金融機関の名義変更など、これでもかというほど、手続きの嵐が襲ってきます。
なくなった直後のこの時期に遺品整理をするのは大変です。手続き後なら、整理するものの形が見えやすいということもあります。
そのため多くの遺族が、一通りの手続きを終えてから遺品整理、という道すじを選択しています。
3.葬儀直後に実施
かつては同じ屋根の下で暮らした兄弟も、日本中に散らばって住んでいるケースが案外多いもの。
さすがに父や母の葬儀の時は全員集合しても、後の法要までは欠席する兄弟も出てくるでしょう。
そんな遺族の事情を反映して、葬儀直後に遺品整理する方もいます。
また先ほども例に挙げましたが、故人が賃貸で居住していた場合、契約の問題を考慮して、遺品整理を急ぐ必要があります。
「葬儀後すぐ兄弟でアパートに直行し、母の遺品を整理した」など、大変でも整理を急ぐパターンが見られます。
いずれにしろ、葬儀後すぐ実施するメリットは、時間の節約でしょう。早い段階で気持ちを切り替えるきっかけになるかもしれません。
遺品整理を実施する時期に正解はありません。ご紹介したタイミングも、それぞれ事情があって選ばれており、そこには家族の気持ちが大いに反映されています。
事情があって急ぐ場合もあります。気持ちの整理がつかず何年もそのまま、という方もいるでしょう。
大事なのは、効率よりも、遺族が納得して遺品整理できることです。もし遺言状やエンディングノートなど、故人の遺志が伝わるものがあるなら、しっかり全員で確認してください。
余計なトラブルは故人のご冥福のために最も必要のないもの。みんなで話し合い、円満に遺品整理を行ってくださいね。
遺品整理の仕方は?遺品として手元に残すものと処分するものの分け方。
遺品整理の時期が決まると、次に悩ましいのがその仕方です。一人の人間に関わるものは、思いのほか膨大な量になります。
ここでは遺品整理の仕方をご紹介したいと思います。
1.作業のスケジュールを立てる
どんな作業でも、事前にスケジュールを立てることで効率が上がります。遺品整理の場合は、遺族の予定や手続きの期限も考慮して実施します。
故人の自宅が賃貸なら、その退去日が遺品整理完了のリミットですね。そこから逆算して大まかなスケジュールを作りましょう。
簡単に作業手順も考えておくと、後がスムーズです。
「初日は母の寝室から手を付けよう」
くらいのレベルでかまいません。
どんなふうに作業が進むか、整理の仕方をイメージしておきましょう。
2、はじめに物を分けてしまう
さて、いよいよ遺品整理の仕方に入ります。ここではまず、遺品をざっくり分類することから始めます。
最初の分類は簡単です。
「残すもの」と「捨てるもの」に分ける。
これだけです。
あまり悩まないでください。要は捨てるものを選ぶだけ。残すものの吟味はせず、ひたすら捨てるものを選びます。
次の分類は、「残すもの」の中から、「貴重品」「思い出の品」を選り分けること。ここは大事な作業ですが、あまり時間をかけると停滞必至です。
整理しながら想い出に浸りすぎないよう注意しましょう。
最後は捨てるものを、
「リサイクルできる」「燃える」「燃えない」
と処分方法を決めて分別します。ゴミが多いときは処理業者の手配も必要になります。
作業に必要な物品は、
★段ボール箱
★ゴミ袋
★ガムテープ
★マジック
★ハサミ、カッター
★軍手
などでしょうか。通常の引っ越しなどの準備と同じですね。
3、思い出の品の整理の仕方
ざっくりした整理が完了したら、いよいよ思い出の品に手を付けます。まずは親族でよく話し合い、分けるものは分けてしまいましょう。
アクセサリーや骨董品など高価なものはトラブルの元です。十分話し合って分け方を決めてください。
衣類は流行りすたりがあって、整理が難しいものの一つです。着たいものがあるなら形見分けをしましょう。
高価なものはリサイクルショップで引き取ってもらえる場合も。
量が多く処分が難しい場合は、回収業者を利用する手もあります。
写真類は数によっては場所を取る場合があります。手間はかかりますが、PCに取り込んでデータ化すると省スペースに。
検討してみてください。
4、業者に依頼する方がいい?
遺品整理の仕方の一つとして、業者への依頼があります。確かにプロの手を借りると、あっという間に作業が終わります。
遺品の中に眠る貴重品を見つけることにも長けているでしょう。
しかし、業者に依頼するとどうしても費用がかさみます。自宅が広い場合などかなり高額の出費になることも。
それを覚悟してもなお依頼するメリットがあれば、時間を節約するためにも依頼を考慮してよいと思われます。
まとめ
元気だった父や母との突然の別れ。
覚悟はしていても、人ひとりが残すものの多さには圧倒されます。私も父が亡くなった際に、手続きの煩雑さにあきれ翻弄されました。
遺品整理をいつから行うか、そのタイミングは人それぞれです。大事なのは故人の遺志を尊重すること。そして、遺族がわだかまりなく前を向けることです。
遺品整理の仕方も、これという正解はありません。自分でやるにしろ、業者に頼むにしろ、それぞれ長短所があります。
振り返って悔いの残らない仕方を選択してください。
この記事が、少しでも悩める皆さんの参考になればと願っています。
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